令和3年第2回定例会(9月議会)の一般質問の内容について
詳細を記載いたしますので、ぜひご覧いただければと存じます。
内容に関して疑問や質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
■新型コロナウイルス感染症に対応する人員強化について
質問
県では保健所職員の業務が逼迫した際に、職員の方々が過剰労働にならないような勤務体制を整えているか。また保健所の恒常的な人員体制を強化するため、今後の感染症対応業務に従事する保健師の確保について、どのように考えているか。
答弁
クラスター発生時には、他の保健所等から速やかに応援の保健師等を派遣するとともに、調整本部が感染者の受入先の調整を一元的に行うことで、保健所が疫学調査の業務に専念できる体制を整えている。
また、受診やワクチン接種に関する相談、濃厚接触者の健康管理などの業務を外部委託したほか、保健師等の会計年度任用職員採用や地域振興局内の事務職員の兼務配置などにより、職員の負担軽減を図っている。
恒常的な人員体制の強化については、国の方針に基づき、感染症対応業務に従事する保健師の数が令和元年度の1.5倍になるよう、段階的に増員を進めている。
■介護人材の確保について
質問
介護職員の処遇改善や人材育成に取り組む事業者を県が評価・認証する「介護サービス事業所認証評価制度」の認証法人は49法人にとどまっているため、制度の認知度向上に加え、認証取得に伴う優遇措置が必要と考える。また、現場への介護ロボットやICTの導入を推進して、労働環境の改善と賃金の向上を実現し、新たに介護職を目指す人材の参入を促進していくべきと考える。
答弁
「介護サービス事業所認証評価制度」について県民や事業者の方々に周知しており、これまで120を超える事業者が制度への参加を宣言している。
今後は、介護職のイメージ向上と併せ、認証取得により職場環境が改善された好事例を発信するとともに、介護ロボット等の導入に加え、高齢者施設の整備についても認証取得事業者を優先的に補助採択するなど、事業者がメリットを感じ、積極的に制度に参加できるよう取り組んでいく。
また、介護ロボットとICTの導入については、これまでに導入した事業者から、前向きな感想が寄せられており、導入を加速化するため、今年度から補助予算を大幅に増額している。
■最低賃金の改定による会計年度任用職員の賃金について
質問
単純労務の職員には最低賃金法が適用され、会計年度任用職員のうち、単純労務の職員の賃金水準が、この度の最低賃金の引き上げに伴い、最低賃金を下回ってしまうという相談が市町村から寄せられている。県の会計年度任用職員も同じことが生じないよう、最低賃金が改定される10月1日以降、最低賃金を下回らないような賃金体制が必要と考える。
答弁
これまでの臨時的任用職員の賃金について、最低賃金を下限としながら、正職員の給料改定に合わせて賃金基準を引き上げており、昨年度から導入された会計年度任用職員についても、採用時に決定している報酬の額が最低賃金額を下回らないよう措置することが必要と考える。
今般の改定に伴い、会計年度任用職員のうち単純労務の職員の一部について、報酬の額が822円を下回ることになったため、報酬額を引き上げることにしており、こうした運用方法等について、市町村に対し必要な情報を提供する。
■動物愛護について
a.犬猫の遺棄・虐待等について
質問
動愛法が改正され、令和2年6月1日から施行されている。県では、新型コロナウイルス感染症の影響により、新たなペットの飼育者が増えているが、猫の遺棄・虐待について減少していないという声がある。これらの遺棄・虐待の対策にくわえ、感染症が収束した後において、体験・学習・交流拠点としてのセンターに来場いただくための取り組みが必要。
答弁
県民からの通報等により、犬猫などの動物の遺棄や虐待を疑う事例を探知した場合、必要に応じて飼い主への指導を行うほか、「動物の愛護及び管理に関する法律」に違反する可能性が高い場合は、警察との連携を密にして対応している。
また、国が作成したポスターや動物愛護センターが実施する「命を大切にする心を育む教室」を活用して、県民や子供たちへの啓発を行っている。
動物愛護センターについては、現在、一般開放を制限しているが、収束後は、動物愛護団体との合同譲渡会を再開するほか、県民ニーズに即した講演会や体験型イベントを実施する。
b.犬猫の遺棄・虐待等について
質問
平成28年3月策定の第二次秋田県動物愛護管理推進計画において、2025年までに殺処分ゼロ達成を目標としていることについて、目標への取組の進捗状況と今後の展開は。
答弁
昨年度の殺処分頭数について、猫は630頭であり、センター開設前の平成30年度に比べ約2倍に増加している。これはセンターの存在が認知され、センターへの依頼心が強くなり、飼養が面倒になった例や、無責任な餌やりなどにより繁殖した猫の持ち込みなど、安易な持ち込みが増えたことが原因と考えられる。
今後は、市町村や地域住民と連携した地域猫活動を推進するほか、室内飼養や不妊去勢に関する啓発を行うなど、猫の持ち込み頭数の減少に向けた取組を強化する。
■農業施策について
a.農林基金終了後の主要施策の推進について
質問
農林基金については、期間延長を繰り返してきたが、本年度で終了年度を迎える。生産現場では、夢プラン事業やメガ団地事業に対する期待も大きく、「複合型生産構造への転換」の流れは、着実なものになりつつある。農林基金終了後も、主要施策については、時代にマッチしたリニューアルを加えながら、継続していただきたい。
答弁
収益性の高い複合型生産構造への転換を図るため、農林基金を設置し、ほ場整備とセットで、法人化や複合化、産地化などに力を入れてきたところであり、この10年間で、本県農業は大きく様変わりした。
これまで、夢プラン応援事業による産地の裾野の拡大と、園芸メガ団地事業による拠点整備の二階建てで進めてきたが、全県で複合化が軌道に乗ってきたことを踏まえると、今後は、地域で品目や目標を定め、園芸団地の整備や規模拡大、スマート農業の導入等の意欲的な取組をサポートするなど、施策を再構築する。
b.中山間地域のほ場整備の推進について
質問
中山間地域での整備が加速するものと期待しているが、これまで、ほ場整備を契機とした地域の話し合いには、当初から県や市町村、土地改良区などの関係機関が参画するといったバックアップ体制があった。今後、条件が不利な中山間地域において、ほ場整備を進めていくためには、地域の特性を生かした新たな取組を促すなど、平場以上にきめ細かなサポートが必要。
答弁
中山間地域においては、傾斜がきつく、平場に比べ一地区当たりの面積が小さく、一ヘクタールの大区画化が難しいうえ、担い手不足が進行しているため、法面整備やスマート農業を前提とした整備を進めていくことが重要。
また、高収益作物の導入に当たり、近隣地域と連携した産地化のほか、冷涼な気候などの立地条件を生かした新たな品目の導入や、農商工連携による付加価値の向上など、平場とは違った視点で検討していく必要があるため、担い手や市町村、土地改良区、JAが、商工団体等と連携して多角的な取組を進める。
■集落対策の進捗状況と今後の展開について
a.集落対策の推進体制について
質問
より一層集落対策を進めていくためには、行政がこれまで以上に集落や地域とともに考え、行動していくことが求められ、そのためには地域振興局の積極的な関与を図るなど、県の推進体制をより強化していくことが必要。県の推進体制の現状と今後の方向性は。
答弁
取組に当たっては、県と市町村で構成する協議会を定期的に開催し、国の支援制度や先進事例等の情報共有を行うとともに、今後の方向性を協議しているほか、新たに集落対策に関するセミナーを開催するなど、市町村と密接に連携を図っている。
県の推進体制については、複数の集落からなる新たなコミュニティの形成を図るため、担当職員を増員し、体制を強化したほか、事業の推進に当たっては、各地域振興局の企画担当職員をはじめ、福祉や農林分野の職員もプロジェクトチームのメンバーとして積極的に参画しており、今後も、関係市町村と共に、地域に寄り添いながら、集落対策に取り組んでいく。
b.集落対策の効果的な推進のための助成制度について
質問
市町村や住民が主体となって集落活性化に向けた取組を行うためには、県が財政的に支援することが重要であり、本県の取組状況は、他県の先進事例と比べるとやや不十分で見劣りする。他県では、地域コミュニティ自らによる、集落活性化に向けた主体的な取組を促進するため、財政支援制度を設けているケースもあり、本県においても同様の制度を取り入れるべきと考える。
答弁
国の支援制度を活用し、集落支援員による集落活動の情報発信をはじめ、「お互いさまスーパー」の設置やコミュニティ生活圏の形成に取り組んでいる。また、市町村においても、国の支援制度を有効に活用している事例が多く見受けられる。
国では、集落対策の重要性に鑑み年々関連予算を拡充してきており、県としては、今後とも市町村と連携し、こうした予算を最大限活用しながら集落対策に取り組みながら、国に対して制度の継続や拡充を働きかける。
c.コミュニティ生活圏形成事業の今後の展開について
質問
コミュニティ生活圏形成事業が3年目を迎える。集落の人口減少や地域の活力衰退は、コロナ禍の影響も相まって深刻化の一途を辿っており、集落の生き残りのためには、こうした取組を加速的に前へ進める必要がある。今後は行政のみならず、住民自らが地域運営に取り組んでいくことが極めて重要である。
答弁
本事業は、市町村の意向に基づき選定したモデル地区において取組を進めており、今年度着手した3地区を含む県内14地区において、事業を展開している。
昨年度グランドデザインを策定し、3年目を迎えた5つのモデル地区においては、国の補助事業を活用し徐々に成果が見え始めてきている。今後は、成功事例を積み上げながら、市町村と情報共有を図り、県内各地への横展開を図る。
併せて、集落の担い手不足が懸念される中で、活動を継続していくためには、運営主体の基盤強化が重要であるため、様々な関係団体が参加する地域運営組織の形成に向けた支援のあり方について、検討する。